【台湾在住者向け】オフショア積立商品で成功するための心構え

はじめに

台湾在住の日本人は、日本の金融サービスを利用しにくい一方で、オフショア(海外)の金融商品に関する情報収集がしやすい環境にあります。本記事では、海外在住日本人に人気のオフショア積立商品について解説します。これから契約を検討している方、すでに契約して運用中の方のどちらにも参考となる情報をお届けします。

日本人に知られているオフショア積立商品

日本人の間で知名度の高いオフショア積立商品は以下の通りです。2000年頃からハンサードやフレンズプロビデントの積立商品が日本人に知られるようになりました。その後、販売を終了したものや、新たにリリースされた商品もあります。

金融機関名主な積立商品名
RL360°(旧ロイヤルロンドン)Quantum(クオンタム)Regular Saving Plan(RSP)
Heng An Standard Life (Asia)(旧スタンダードライフ香港)Harvest101(ハーベスト101)
Friends Provident International(フレンズプロビデントインターナショナル)Premier(プレミア)
Hansard International(ハンサード)Aspire(アスパイア)
Investors Trust(インベスターズトラスト)Evolution(エヴォリューション)

これらの積立商品は、毎月US$300程度から積立を始めることができ、各金融機関が提供する数百本の投資信託から複数を選択してポートフォリオを構築し、運用益を目指します。自分自身でポートフォリオを構築しなくても、ポートフォリオマネージャーという運用のプロに任せることもできます。

どの積立商品も基本的な仕組みは似ています。

【主な共通点】

  • 毎月US$200~300から積立可能
  • 契約期間は10~30年
  • 米ドル以外の通貨での積立にも対応(商品による)
  • クレジットカードの自動引き落としで積立可能
  • 契約時にボーナスと称した上乗せ分が付与される
  • 満期時にボーナスが支給される場合もある
  • 200~350本以上の投資信託から10本程度に分散して運用
  • スイッチング(ファンドの入替)手数料が安価・無料
  • 運用状況は金融機関のウェブサイトでいつでも確認可能
  • 満期後も運用継続ができるものもある
  • 満期前の解約には残年数に応じた早期解約手数料が発生
  • ドルコスト平均法による複利効果を期待できる

運用リターンはポートフォリオマネージャーの腕次第

ポートフォリオは自身で構築することもできますが、多くの場合、契約時の保険代理店がポートフォリオマネージングのライセンスを保有しており、運用を委託することができます。運用委託費として時価総額の1%程度を毎年支払うのが一般的です。追加費用は発生しますが、自分で運用する時間と労力を考えれば妥当な金額といえるでしょう。

保険機能と税制優遇

これらの積立商品は、運用商品としての側面が強いですが、保険機能も備えています。被保険者(通常は契約者と同じ)が満期前に死亡した場合、事前に指定した受取人に死亡保険金が支払われます。死亡保険金額は保険会社・金融商品によって異なりますが、被保険者死亡時の時価総額に0~5%を上乗せした金額が支払われるのが一般的です。

また、「保険」であるため、運用中の収益に対して課税されません。ポートフォリオ内の投資信託をスイッチングする際に収益が発生しても課税されないため、複利効果が期待できます。

これらの積立商品を提供している金融機関はすべて保険会社です。積立商品を「保険」として扱うことで、運用過程で発生する利益にその都度税金を支払う必要がなくなります。つまり、保険商品というよりは「運用商品」としての性格が強いのが特徴です。

オフショア積立商品で成功するためのポイント

1.満期まで積立を継続する

運用過程で資産が増えるか減るかは、運用のプロを含め誰にも正確に予測できません。「分からない」を前提に、長期にわたって購入単価を平均化し(ドルコスト平均法)、利益を目指すのが定額積立投資の本質です。そのため、結果が出るまでには時間がかかります。裏を返せば、積立期間が長ければ長いほど成功しやすいのも積立投資の特徴です。

オフショア積立商品をすでに契約されている方の多くは、満期を20年や25年に設定されていると思います。契約当初はボーナスが時価総額に加算され、見た目の数字はよく見えますが、このボーナスはあくまで手数料の戻しであり、最終的には金融機関に徴収されます。また、運用状況によっては時間の経過とともに時価総額が目減りし、投資元本を割ることもあります。

しかし、そのような紆余曲折を経た後に実を結ぶのが積立投資の本質ですので、満期まで積立を継続することが重要です。途中解約すると満期までの残存年数に応じて早期解約手数料が発生し、元本割れする可能性が高まります(早期解約した場合の返戻金額は代理店に直接確認できます)。

これから契約を検討されている方も同様に、満期まで積み立て続けることを前提に、積立金額と積立期間を決定してください。

ただし、最近ではiDeCoや積立NISAといった日本の積立運用ツールも充実してきました。これらは手数料が安く、税制優遇も大きいため、定額積立投資を検討中の方は、まずiDeCoや積立NISAの活用をお勧めします。さらに資金に余裕があれば、オフショア積立商品の検討も良いでしょう。

2.優秀なポートフォリオマネージャーに委託する

オフショア積立商品の運用成績は、ポートフォリオマネージャーの手腕が直接影響します。これらの積立商品の多くはスイッチング手数料が無料であるため、アクティブ運用(積極的にポートフォリオを組み換え、市場指数を上回る投資収益を目指す運用スタイル)に長けたポートフォリオマネージャーが適任です。

ただし、アクティブ運用がパッシブ運用(日経平均株価やTOPIXなどのベンチマークに連動する運用成果を目指す手法)を上回ることは容易ではありません。実際に、多くのポートフォリオマネージャーが期待通りの結果を出せずに苦戦している状況もあります。

ポートフォリオマネージャーに任せる最大のメリットは、自分で運用する必要がなく、専門知識を持つプロに任せられる点です。一方、デメリットは委託費用がかかることです。たとえ運用成績が芳しくなくても、時価総額の1%程度の手数料が発生します。積立を継続して時価総額が1,000万円になれば、1%は10万円に相当します。やはり実績のある信頼できるポートフォリオマネージャーを選ぶことが重要です。

まとめ

手数料も安価で税制優遇があるiDeCo、積立NISAといった運用ツールが整備されてきた昨今において、オフショア積立商品は運用選択肢の主流とは言い難い状況です。しかし、すでに運用中の方には、最終的に満足のいく結果になることを願っています。

オフショア積立商品に関してご質問やご不明点がございましたら、いつでもご相談ください。

「元本割れが心配」「より安心できる確実な運用がいい」という方には、ある程度まとまった資金が必要になりますが、香港の外貨建て貯蓄型保険での運用がお勧めです。一定期間運用いただくことで元本確保が見込め、安定した資産の増加が魅力の運用商品です。詳しくお聞きになりたい方はお気軽にお問い合わせください。

おさえておきたいその他の記事