今日は、恥ずかしながら私自身の運用失敗談を少しお話してみたいと思います。
まず私の父なのですが、元々かなり自由人的な個人事業主だったのですが、パチンコ、麻雀、競馬、株など、ありとあらゆるものを手掛けた人でした。そして株の運用も、投資というよりは投機的な側面の方がつおかったでしょうし、バブルでは痛い目に遭っていました。そんな父ですから、パチンコも麻雀も教えてくれましたし、その他も当然興味本位で全部やってみました。正直賭けている時のドキドキ感は嫌いではないですし、余力の範囲で節度を持ってできるのであれば、パチンコも競馬も楽しい娯楽になり得ると私は思っています。余談ですが、一般的に男性が女性よりギャンブルが好きなのは、人間が狩猟でしか食べるものを得ることができなかった頃、男たちは目の前の道を右に行くのか、それとも左に行くのか、食料の動物をありつくために命がけの選択を常にしなくてはならなかったわけで、そいうった昔の経験(獲物が取れた時の快感?)が、DNAに刻まれているから、男性の方が女性より賭け事が好きな人が多いと聞いたことがあります。
私自身が株式投資を始めたのは2000年頃からで、まずは四季報をみて、気に入った会社の株式の購入からはじめ、2003年頃には、テクニカルチャートの読み方も勉強したりしてました。結局「株式投資」というよりは、「株式投機」であり、上がった下がったのゲーム感覚です。一日で決済するデイトレードもやりましたし、数カ月~年単位で保有する株式もありました。
2003年と言えば、日経平均株価が7000円台を付け、その後株価は軒並み上がっていった頃です。ですからどんな株でも、保有していれば大体が年20-30%ぐらいは普通に上昇していました。私は本格的に始めたタイミングで、たまたまうまい具合に上昇マーケットに乗っかっていただけにもかかわらず、自分は投資のセンスがあるから儲かっているのださえ思っていました。今思えば酷い誤解と過信です。しかしそれだけ調子が良いと、人はさらに調子に乗ります。私が次に手を出したのが、信用取引でした。信用取引というのは、簡単に言えばお金を借りて投資をすることです。手持ちが100万円でも3倍の300万円まで株式の購入ができるため、思惑通り上がれば少ない元手で3倍儲かります。一方下がれば当然損も3倍で、さらに金利も支払うことになります。一般投資家が最もやってはいけないトレードです。
私はこともあろうに、信用取引枠のほぼ上限まで利用していました。保有していた株式はほとんどが収益プラスでしたので、そのまま維持し続けることで、思惑通り資産を増やしていました。
そして転機は2006年の年明けです。ほりえもんのライブドア事件が引き金となり、日本の株価が急落しました。私はライブドアの株式は保有していませんでしたが、今まで経験したことのないマーケットの大暴落によって、信用取引を上限までしていた私にとっては悪夢の到来となりました。まず私の保有する株式の全体の評価額が一気に下がったことで、追証(借りている資金の担保としての株式全体の評価額が下がったことで、その担保を維持するために追加で資金を入れるように言われることで、期限までに入れられないと強制的に株式を売却し借入の返却を迫られることになります)が発生したのですが、めいっぱい信用取引をしていた私には追証に対する余力はなく、結局数日後にほとんどが株が売却されてしまいました。x千万円あったポートフォリオが、一瞬で雀の涙となりました。
失った資金は本当に残念でしたし、悔しかったですが、今思えば、当時の私は分かった気になっていただけで、資産運用というより、ただのギャンブル(投機)で「たまたま」上手くいっていただけだった、ということです。たとえ10勝していても、1敗したことで全てを失うようでは、それはリスクマネージメントができている投資ではなく、ただのギャンブルでしかありません。本来の資産運用は、5勝5敗でも確実に増やせるようなリスクマネージメントをすることだと思います。本当に浅はかでしたが、今では少々高い授業料だと思っています。
あの頃の反省点を挙げるとしたら、
・複数の株式に分けてはいたが、全てが日本株であったことは、そのマーケットが崩れると総崩れになるリスクがそもそも高かった。従って株式投資の際は、国境を跨いだ株式投資も大切である。マーケットを分散することで、リスク分散が可能である。
・資産運用の投資先が全て株式というのは、価格変動リスクを取りすぎているので、債券や保険への分散投資も必要である。またマーケットが下げた局面でも下がった資産が購入できるよう現金も一定割合保有しておく必要がある。
・所詮自分は投資に関しては素人であることをまず認める。投資判断に対する過信は論外。むしろ香港などの金融の発達した地域には、自分より優れた投資のプロがいくらでも存在するので、手数料を払ってでも判断を仰ぐ(運用を任せる)のも一つの方法である。(例:投資信託や保険会社の特別勘定商品の利用)
当時私は、デイトレードのような取引をしながら生活基盤が持てたらいいなぁ、といった甘い考えが頭の片隅にあったのは事実です。もしかしたら投資(むしろ投機?!)の勉強を続けていれば、いつかはプロトレーダーのようになれていた可能性はゼロではないかもしれませんが、その時間と費用を可能性を考慮したら、既に投資アドバイスを生業にしているプロの方々に任せた方がよっぽど効率が良いとの結論に達しました。いわゆる分業の考え方です。自分ができる・したいことをしてもらった報酬(お給料)から、一部をプロに預けて将来のために運用してもらう。この方法だと、預けた私も、任されたプロも、そして資金を必要とする投資先の会社もみな幸せになれる可能性があるのです。本来の投資がまさにこれです。やはり奪って手にするお金より、分かち合って手にするお金の方が気分もいいですよね。
これをご覧になっている方で、資産運用を既にされている方は、その運用が投資ではなく投機になっていないか、いま一度見直してみてくださいね。是非下記記事を参照下さい。必要であればいつでもお手伝いいたします。