台湾駐在員が本帰国前にしておきたいこと~金融編~

日本へ本帰国がお決まりになった台湾駐在員の方が、ご帰国前に済ませておきたい金融関連のお手続きをまとめてみました。ぜひ参考にしてみてください。

台湾の銀行口座

台湾の銀行口座は、居留証との紐づける必要があるため、居留証返却後、つまり本帰国後は、銀行口座は閉鎖するのが本来のルールです。しかし移民署と銀行は、現在オンラインで繋がっていないため、日本帰国後もそのまま銀行口座を保有し続けることは可能で、実際に保有し続けている方も多いようです。銀行に登録してある住所や電話番号が使われていないことが発覚すると、利用制限がかけられることもあるそうですが、そのようなケースをまだ耳にしたこともなく、結果的に本帰国後も、保有したければ保有することができている、という現状です。最終的な判断はご自身でリスクを考慮してお決めいただくこととなりますが、銀行口座を保有し続ける方がよろしい対象者を挙げてみます。

  • 本帰国後も台湾に出張の機会がある方

出張時に必要な台湾ドルの手配が簡単にできます。

  • 台湾に不動産を保有し、家賃収入がある方

家賃収入が台湾ドルであれば、台湾ドルの受け皿とて台湾の銀行口座はある方が便利です。

  • 台湾の証券口座を通して、株式・投資信託などを所有またはお取引がある方

売却時、解約時の受け皿として、銀行口座がある方が便利です。

  • 台湾の保険をご契約されている方

台湾ドル建ての保険でしたら、解約時の受け皿として銀行口座はある方が便利です。

結局のところ、台湾ドルでの何かしらの収入が継続してある方は、やはり銀行口座は、継続保有がよろしいと思います。

カントリーリスクの分散効果

もう一つリスクヘッジの観点から、台湾に口座を保有することで、カントリーリスクの分散効果が期待できます。 今は、日本が絶対に戦争に巻き込まれない、とは言い切れない時代です。そういった有事に備え、資産を日本以外の国に分散して保有することは、カントリーリスクのヘッジになります。また台湾ドル資産を保有することで通貨の分散効果もございます。そういった資産保全の観点から、台湾の銀行口座を保有し続けるのも宜しいかと思います。

銀行口座閉鎖は在台中に済ませる

もし銀行口座の閉鎖をお決めになった方は、本帰国される前に銀行窓口で手続きをするようにします。ご帰国後の口座閉鎖手続は、電話や書類のやり取りが発生しますので、あまりお勧めいたしません。

【ご帰国後にやはり口座を閉鎖したい場合】

もし海外引き出しができるATMカードが付帯している口座でしたら、正式な方法ではございませんが、日本の金融機関(セブン銀行等)のATMで全額引き出してしまい、その後口座を放置してしまうのも一つの方法です。1日あたりの引き出し限度や、引き出し手数料等が銀行によってかかりますが、銀行との直接のやり取りが一切ないのでシンプルです。いずれにせよ、できるだけご帰国前に済ませるようにしましょう。

万が一に備え情報共有

日本帰国後も台湾の銀行口座を保有する方は、ご自身の死亡時に備え、銀行口座の詳細(ネットバンキングのIDやパスワード、ATMカードの暗証番号等を含む)を、ご家族と共有しておくことをお勧めいたします。

海外に銀行口座を持つリスクのひとつは、あなたが予期せず死亡した場合です。

あなたが突然死亡し、その後残されたご家族(相続人)が、あなたの銀行預金を正式な方法でで引き揚げようとすると、かなり苦労するかもしれません。銀行に対して正当な相続人であることを証明できなければ、資金の引き渡しがされない場合がございますので、日台間のやり取りをしてくれる国際弁護士を雇ったり、手続きに必要な公的文書の用意や翻訳などが必要となると、費用も時間もかなりかかります。

しかし銀行口座の詳細さえあれば、相続人はあなたに代わって、日本のATMで引き出してしまうことも可能です。インターネットバンキングで、日本国内に送金手続きもできるかもしれません。万が一に備えて必要な情報の共有は必ずしておいてください。

台湾の証券口座

日本帰国後に、台湾の証券口座で株式売買をし収益があれば、日本で税務申告が義務となります。また台湾の証券口座から日本の証券口座に移管(出庫)するにも、費用と時間もかかります。(台湾銘柄の移管を受けない日本の証券会社もございます。)以上色々な手間や費用を考慮すると、株式等の証券は、本帰国時に一旦清算される方がよろしいかと思います。
もしそのまま保有される場合は、銀行口座同様、口座情報はご家族とシェアしておきましょう。とは言え万が一の時は、引き上げには売却等も絡みますのでかなり複雑な手続が必要となると予想できますので、十分にご注居ください。

台湾の保険契約

台湾の保険を契約されている方は、保険代理店担当者といつでも連絡が取れるようにしておきましょう。そして日本帰国後の住所確定後、通知先の変更手続きを必ず手配します。。

また銀行口座の詳細同様、保険契約の存在と契約内容は、ご家族の方、保険契約上ご指定されている受取人と必ずシェアしておくようにしましょう。

台湾の保険会社は、日本の法律の影響を受けませんので、契約者ご本人やそのご家族から連絡がなければ、契約者や被保険者の死亡を知る余地がございません。もし契約者ご本人以外の方が、保険契約の存在を知らなければ、契約者(被保険者)が残した死亡保険金を受け取り損ねてしまう可能性がございます。万が一の時に必要な手続きがスムーズにできるよう、保険契約内容や契約書の保管場所は、ご家族でシェアしておくようにしましょう。

以前弊社で実際にあった例です。ある男性Aさんが香港の積立保険商品を契約されておりました。毎月の保険料は、Aさんのクレジットカードによる自動引き落としでした。ある時その自動引き落とし決済が、カード所有者都合でされなかったため、保険会社から保険料滞納の連絡が弊社に入りました。確認のためAさんにご連絡差し上げたところ、ご家族の方曰く最近お亡くなりになったとのことでした。(Aさんの死亡を確認した金融機関が、Aさんのクレジットカードを利用停止したため、自動引き落としがされなかったと推測します。)

その後弊社は、Aさんが保険金受取人にご指定されていた奥様に、死亡保険金のお手続をサポートさせていただこうとしたのです。しかし奥様は、生前ご主人から香港の積立商品のご契約についてお聞きになっておらず、また弊社が香港(海外)の法人だったため、海外投資をうたった詐欺と勘違いされてしまい、なかなか信じていただけませんでした。結局ご自宅まで伺わせていただき、保険契約の詳細や契約までの経緯、弊社の役割をご説明差し上げましたところ、ようやくご理解いただき、保険金の支払い手続きが進みました。

上記のケースは、保険料支払いがクレジットカードの自動引き落とし決済だったため、契約者死亡の事実を知ることができましたが、もしも保険料払い済の保険契約でしたら、死亡直後の手続は難しかったでしょう。万が一に備え、海外の資産管理は、ご家族と一緒にしておくようにしましょう。

保険ならではのメリットは死亡時

銀行口座と証券口座は、口座保有者が死亡すると、残された家族に何かしら負担を強いる可能性が高いですが、保険はその点全く問題がございません。保険金受取人が指定されていれば、死亡診断書などの必要書類を提出するだけで、保険会社は支払い請求に応じます。割と忘れがちな思いがけない死亡リスクに、最も融通が利くのは保険です。ですから保険で運用する、という選択肢が存在します。

台湾にいる今だから契約可能な保険に加入する

台湾駐在員の皆さまにとって、「海外の保険に加入できること」は、唯一無二のメリットだということをご存じでしょうか。日本では保険業法という法律がございまして、その第186条において、「日本居住者が海外で保険を契約する際には、内閣総理大臣の許可を必要」としており、実際に許可は出ないため、契約ができません。しかし台湾駐在中であれば、保険業法の対象にはなりませんので、海外保険の加入に許可も必要としません。

そして台湾のすぐお隣「香港」は、アジアの金融センターと呼ばれ、世界の富裕層が契約する有利な保険商品が多数ございます。その中でも、運用を主目的にした「米ドル建て貯蓄型保険」は、日本人の皆さまにとってご検討の余地が非常に高いと思っております。ご自身の個人年金やお子様の教育資金など、中長期運用を前提にされる方にお勧めで、日本や台湾の貯蓄型保険より有利な運用リターンとなっております。

香港の「米ドル建て貯蓄型保険」の契約通貨は米ドルです。米ドルは、世界で最も信用が高い通貨の一つです。資産の為替リスクを分散する時、私たち日本人は、日本円の次に持つべき通貨は米ドルです。

「米ドル建て貯蓄型保険」は、台湾の保険会社も販売しており、予定利回りで比較しても、日本のものよりは高く、また香港のものと同等ぐらいの商品もございます。しかし台湾でご契約されるのと、香港でご契約されるのでは、全く意味合いが違います。その決定的な違いは、それぞれの国の主要産業です。

国が有事の際、最初に保護しようとするのは主要産業です。国家経済を支える企業体・産業分野をまず支援しようとするのは当然です。香港であれば金融であり、台湾であればIT・電子関連であり、日本では輸出関連ではないでしょうか。そのようなカントリーリスクを考慮すると、金融商品の契約先として、香港に軍配が上がります。

例えば、日本はどちらかというと円安が歓迎される傾向がございます。これは円安の方が、日本製品の競争力が海外で上がるからです。円高は円が強い状況ですから、原材料を安く海外から調達できたり、海外旅行先で物品を安く買えたり、よい側面もございますが、主要産業主導で考えると、円高は輸出関連企業の海外での競争力低下を意味しますので、色々な力が働き、いつの間にか円高は是正されます。

過去20年の円ドル相場を振り返りますと、1米ドル=100円±20円の範囲で収まっております。

そして物価上昇率に関しては、アメリカは年平均約2.1%(=毎年2.1%米ドルの価値が下がった)、日本はデフレでほとんどインフレしませんでした。(=日本円の価値はかわらなかった)ということは、下がった米ドルとかわらなかった日本円の関係から、円高に振れるべきであり、1米ドル=50~60円ぐらいの円高になっていてもよいはずです。しかし現在の為替も20年前の為替もほとんど変わりません。これは何を意味するかと、本来高くなっているべき日本円が高くなっていないので、米ドルに対して弱くなっているということです。日本は主要産業を保護するために円安政策を優先した結果、対米ドル(だけでなく実際は世界の通貨に対して)で日本円の価値を著しく下げ、爆買いされる国に変貌させてしまったのです。

香港は人口700万人の小さな地域で、金融以外に何もありません。世界に通用する金融業界を維持できなければ、自国経済が成り立ちません。その維持のために金融機関に対する様々な法律が、香港では厳格に整備されています。保険業は保険業監管局(Insurance Authority)、証券業は証券及期貨事務監察委員会(Securities and Futures Commission)が厳しい規制のもと、金融機関を管理・監督しております。金融商品を契約する皆様が安心していただける地域であり、また世界に通用する金融商品が多数あるのも香港です。

最近の香港について、少し前のデモ騒動や国家安全法制定のニュースをご覧になり、香港の中国化と言われることにご心配される方もいらっしゃるかもしれません。しかし香港は、1997年7月にイギリスから中国に返還され、正式名称も「中華人民共和国香港特別行政区」で、既に中国の一部です。そして返還から今日まで、中国は香港金融を利用し世界中から資金を集め、香港は中国の経済成長を利用しながら相互成長し、今日の経済発展を共に遂げてきました。この関係性はこれからも、おそらく大きくは変わらないと思います。事実色々なニュースの最中にも関わらず、米ドルとの目標相場圏制度を採用している香港ドルは、米ドルに対してずっと高値に張り付いています。(=香港ドルは米ドルに対して買われ続けています。下図参照)

内閣府参与の原丈人さんの香港に対するコメント

1米ドル=7.75香港ドルに張り付いたままの為替

台湾駐在中に、ぜひ一度香港の保険を活用した資産運用をご検討されてみてください。具体的な保険商品詳細、資産運用やお金に関するご相談は、お気軽に無料個別相談をご利用ください。

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