台湾駐在期間を活かす-資産運用成功のカギは強制天引き!本多清六から学べること

資産運用はいつ始めればよいのか

台湾在住中は、いざ運用を始めると思っても何かと不便がつきまといます。何故なら日本の金融サービスを利用することができないからです。その状況の中で個別相談の際に、

「資産運用はいつ始めるのがよいでしょうか?」

という質問をいただくことがあるのですが、この質問に対する私の回答はいつも、

「したいと思った時がそのタイミングです。」

とお答えします。その一番の理由は、 資産運用の成功のカギは、どれだけ「時間」を味方にできるかであり、 「今」が最も長く資産運用していただけるタイミングだからです。

今の市場や株価が高いのか、安いのか、その判断が必要なのは投機的思考であり、その答えは後にならないと分かりません。私たちが目指すべき真の資産運用は、短期的な一喜一憂ではなく、長期的なスパンで資産を増やしていくことではないかと思います。

少しでも早く始めるのが成功への近道

例えば、Aさん(40歳)とBさん(40歳)の二人が、将来の自助年金作りに資産運用を始めようとしています。二人とも家計のやりくりで、毎月3万円なら拠出ができそうなことが判りました。そして今の投資環境では、年利5%(香港の米ドル建て貯蓄型保険の利回り)の運用ができたと仮定し、65歳引退時まで運用するとします。

まずAさんは、将来への不安はあるのですが、今を楽しんでしまった結果、何もせず50歳になってしまいました。そして50歳から65歳まで毎月3万円の積立運用を開始しました。

一方Bさんは、先日の老後年金2000万円問題に衝撃を受け、すぐに毎月3万円の積立運用を開始し、65歳まで継続しました。

さてAさんBさんが65歳になった時、それぞれどれぐらいの資産を作り上げることができているでしょうか。

これは単純な複利計算で答えがでます。インターネットで「複利計算」と検索していただければ、推定利回りや金額を入れるだけで自動的に計算してくれるサイトがたくさんございます。

当然Bさんが投資金額が10年分(=360万円)多いので、受取金額が多いのはイメージできると思いますが、AさんとBさんの受取金額の差は360万円ではありませんね。

Aさんは、毎月3万円x15年積立、年利5%運用した結果、65歳時に801万円を受け取れます。

そしてBさんは、毎月3万円x25年積立、年利5%運用した結果、65歳時に1,786万円を受け取れます。

お二人の投資額の差は360万円、しかし65歳時の受取額の差は985万円にもなります。つまりBさんが時間を味方につけ、複利で資産を大きく膨らました結果です。

上記は年利5%を前提にしましたが、もし株式を主体とした運用で年利9%(過去200年の統計における世界株式の年利回り)ができると、65歳時の受取金額は、Aさんは1,135万円、Bさんは3,363万円です。

選択される運用方法や金融商品等々で増え方は違いますが、

早く始めること=時間を有効に使うこと

が資産運用ではとても大切です。「Time is money.」は、資産運用に当てはまる格言です。

強制天引きで資産運用大成功

コツコツと積立投資をすることで、100億円もの資産を築いた日本人がいます。彼の名は「本多清六」。日本で最初の林学博士で、東京の日比谷公園や明治神宮、大阪の住吉公園など、全国の公園設計を手掛け、「公園の父」と言われております。

本多清六

東大の教授でありながら、100億円もの資産を築いた本多清六ですが、元々裕福な家柄だったわけでもなく、むしろ貧乏の中から彼なりに投資手法を編み出し資産を築きました。その方法は、彼の著書「私の財産告白」に公開されています。

まず25歳の清六が始めたのが、月給の四分の一を強制天引きし、貯金することでした。(「四分の一天引き貯金」)給料日前にどんなに生活が苦しくても、その貯金を取り崩すことも、天引きをやめることもありませんでした。更に月給以外の臨時収入は、全額貯金に回しました。すごい徹底ぶりです。

もしあなたの月給が30万円だとしたら、7.5万円を貯金し、22.5万円で生活しようというわけです。7.5万円減った、と考えるより、世の中には22.5万円で生活している人が必ずいると思えば、生活できないわけがない、とその環境を自ら受け入れる姿勢です。さらにボーナスなどの臨時収入があったとしても、普段の生活ではそもそも必要ないものと考えますから、一切手をつけず貯金に回します。ボーナスが出たりすると、少し気が大きくなったりするのが一般的ですが、でもこれが本当にできれば、あっという間に貯まりそうな気がしますね。

そして彼はある程度貯まった段階で、今度は株式や森林土地に投資をしました。資産は更なる資産を生み、40歳になった頃には、既に数十億円の資産を築いていたそうです。

また彼が尊敬されるエピソードがございます。彼が資産運用を始めたそもそもの目的は、自分が大好きな林学を勉強するために必要な資金を作ることでした。ですから退官後に、そのほとんどの資産を匿名で寄付したそうです。(彼の実家がある埼玉では、寄与された山林から得られる収益で、今も奨学金制度が運営されています。)一生かけて作った資産をほぼ全部寄付し、引退後は慎ましく老後を送れる人はそうそういないですよね。

資産運用に成功されたい方は、必読の一冊です。彼の一貫した投資哲学、実直な姿勢から、必ず何かを感じていただけるはずです。

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