資産運用の方法はさまざまありますが、絶対的な一つの方法は残念ながら存在しません。全ての運用は、必ずリスクとリターンの両方の側面が存在し、運用リターンは取ったリスクの対価であり、リスクなしで運用リターンはありません。従って、一つの運用に偏ることをなるべく避け、バランスのよいリスク・リターンがとれた運用を目指すことで、より安定した収益が期待できると思います。本日は伝統的な資産運用の手法「財産三分法」をご紹介いたします。
3つの資産
財産三分法は、ご自身のアセット(資産)を3つの資産に分けるようアドバイスしています。
①金融資産
一つ目は、「金融資産」です。株式・債券・投資信託はすべて金融資産に含まれます。これら金融資産の中でも、一般投資家は投資信託が上手に使えるとよいと思います。やはり単体の株式に直接投資するのは、それなりの知識と経験、そしてリスクを伴います。(投資先が破綻すれば最悪ゼロになる可能性もございますのリスクは高くなります。しかし投資信託であれば、信託会社が選択した、たくさんの株式に分散投資することができます。
仮に、トヨタ自動車の株式に投資をしたとします。トヨタの従業員や経営者に頑張って働いてもらい、トヨタ自動車が儲かれば、あなたにも収益(配当やキャピタルゲイン)をもたらしてくれます。しかしトヨタ自動車の業績が落ちてしまうと、その収益が得られなくなるかもしれません。
ではトヨタ自動車の株式に投資をする代わりに、自動車産業全体に投資するような投資信託に投資したとします。するとトヨタ自動車の業績がよくなくても、その分別の自動車会社の収益が上がっていれば、そこから収益を上げることができますので、結果的に投資信託は収益を上げることができるでしょう。単体の株式に投資するよりリスクが分散できるのが投資信託のメリットです。
もしかしたら将来自動車産業は斜陽産業になるかもしれません。仮にそうだとしても、経済は常に何かしら新しい価値を創造し発展し続けますので、自動車に代わる何か別の移動手段が台頭してくることになるかもしれません。ですから世界中の企業にまんべんなく投資することができれば、世界のどこかの企業が発展し、収益を上げ続ける限り、その投資信託は収益をもたらしてくれるはずです。世界株式投信は、まさにこの意に沿った運用です。(株式投資が収益をもたらさなくなったとしたら、それは資本主義経済が終焉かもしれません。)
②不動産
不動産は所有することで安定的な収益をもたらしてくれる、非常に魅力的な資産運用の一つです。しかし現金化のしにくさと、ある程度まとまった資金が必要な点がデメリットと言えます。現金が必要になった時も、買い手が見つからなければ、いつまで経っても現金を手にすることはできません。ですから、不動産投資は、余剰資金(すぐに換金する必要がない資金)での運用がマストです。また不動産投資は、国内か海外か、戸建てかマンションか一棟買いか、家賃狙いかキャピタル狙いか、借り入れはどうするかなど、色々と考慮する点と専門的な知識も必要です。
少額でもできる不動産投資として、REIT(リート)はお勧めです。何より不動産のプロが投資先を選別しておりますので、細かい不動産の知識も必要ありません。
③現金
最後の3つ目は現金です。ただ現金も日本円だけでなく、米ドル、ユーロ、中国元といったメジャー通貨に分けて保有するのが理想です。通常台湾に在住されている方は、普段の生活分は台湾ドルで保有しつつ、その他の貯蓄や保険・運用は、是非外貨を少し意識されてみて下さい。現在のアメリカ主導の資本主義経済が継続する前提であれば、米ドルは是非持っておきたい通貨の一つです。(下記過去ブログ参照下さい)
偏る事はリスク
「財産三分法」における、3つの資産をご紹介して参りました。あなたの資産はほどよく3つの資産に分散できていますか。実際は多くの方がいずれかに偏っていることが多いです。
恥ずかしながら20年前の私は、日本株の金融資産のみでした。金融資産に偏ると、ITバブル、リーマンショック、新型コロナウィルスショックなどが起こると、資産価値が一気に目減りしてしまいます。金融資産は価格変動リスクが高いです。
もし不動産ばかりですと、震災のような大地震があると、その地域の不動産は多大な影響を受けます。家賃収入がなくなったり、売却も難しくなります。いわゆる流動性リスク(現金化のしにくくさ)が高まるのが不動産の特徴です。
昔のままの感覚で、今でも預貯金(現金)ばかりを保有される方は、株価暴落や天災等の影響は受けませんが、経済成長過程においてインフレすると、実質的に資産価値は目減りしてしまいます。
以上のことから、バランスよく3つの資産を保有することが大切です。そして実は、この財産三分法を実践するだけで、資産が自然と増えて行きます。その理由はまた次回お話します。
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