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信託会社を媒介した保険契約とは
保険契約の際、通常はお客様ご自身が契約者となり、保険会社との直接取引が一般的です(図1)。しかし、海外での保険契約の場合、海外法人や信託会社を媒介して契約を行うこともあります(図2)。
海外法人を設立して保険契約をする場合、法人設立費用や維持コストが毎年かかるため、ある程度の保障がないとそのメリットを享受しにくいかもしれません。しかし、信託を活用する場合、信託費用自体はそれほど負担にならず、また解約時の返戻金や死亡保険金の受取時において、二重課税を回避する利点があります。本日は図2に示されている信託会社を介した保険契約の仕組みについて、詳しく解説いたします。
信託契約と保険契約
信託とは、「大切な財産を信頼できる人や会社に委ね、自身が定めた目的にそった運用や管理を受ける」という概念です。図2に示される信託会社を通じて保険契約を行う場合、それは「自身や家族のための保険契約を、信頼できる信託会社に託し、予め定めた目的にそった管理を委ねる」こととなります。したがって、保険契約の内容を信託に委ねるためには、最初にお客様が信託会社と信託契約を締結する必要があります。しかしながら、この信託契約は保険契約に特化したものであるため、通常の一般的な信託に比べて費用が抑えられるという特長があります。
《信託契約の条件》
信託委託者(Settlor) | お客様 |
信託受託者(Trustee) | 信託会社 |
信託財産 | 保険契約 |
委託者死亡時の財産受取人(Beneficially) | お客様のご家族 |
信託費用 | 200~500米ドル程度/年 |
次に受託者である信託会社は、お客様(委託者)の意志に従い「保険契約」をします。
《保険契約の条件》
契約者 | 信託会社 |
被保険者 | お客様 |
受取人 | 信託会社 |
保険料支払い | お客様 |
信託契約中に信託委託者が死亡した場合
信託契約が有効な間、信託委託者(つまりお客様であり保険契約の被保険者)が亡くなった際には、まず保険会社は死亡保険金を支払う義務を負います。この死亡保険金は、信託契約の受託者である信託会社に支払われます。
その後、信託会社は信託契約に基づき、故人が遺した財産を、故人が指定した受取人に引き渡す手続きを行います。言い換えれば、信託会社は保険会社から受け取った死亡保険金を、お客様のご家族に支払うことで、信託契約を遂行し終えます。
法律で守られる保険契約
香港の貯蓄型保険についてご検討中のお客様から、下記のご質問をいただきました。
Q:「保険会社はS&Pの格付けに関して信用できるが、信託会社については不明瞭で、信託財産(保険契約内容)が勝手に変更される心配はないか。」
A:
〔信託契約形態〕
信託委託者:お客様
信託受託者:信託会社(保険会社指定の信託会社)
信託財産:保険契約
〔保険契約形態〕
保険会社:保険会社
保険契約主:信託会社
被保険者:お客様
上記の契約形態から、信託会社が悪意を持ってお客様の承諾なしに、保険契約の主体を信託会社から第三者に変更し、お客様が保険の権利を喪失する可能性についての懸念をお持ちです。
1.まず香港の信託会社は、香港信託条例(Hong Kong Trustee Ordinance)により規制されています。信託会社の従業員や代表者が信託委託者の意向に反して信託財産(保険契約)を変更したり窃取する行為は、犯罪とされます。
2.そして通常信託会社は、保険会社によって指定された会社です。
3.保険会社は信託契約中に、保険契約主を信託委託者または被保険者以外の第三者に変更することを認めていません。保険会社が許可する契約主変更は、受益権を有する配偶者や子供などに限られます(保険会社内部の規則でも確認されています)。
4.信託契約中に契約主変更を行う場合、保険契約の手続きをした保険代理店が理由を説明する必要があります。言い換えれば、保険代理店の知らないところで、変更は行えない仕組みです。
5.保険契約内容の変更時には、保険会社は必ず契約手続きを行った保険代理店に通知を行います。つまり、変更情報があればすぐにわかります。
上記のことから、香港の法律と保険会社内部の規則により、信託会社の信用リスクは極めて低いと言えます。
台湾在住日本人が、香港で保険契約する際に関係する会社や人は、一般的に以下の通りです。
・お客様(ご契約者)
・保険会社(保険契約)
・信託会社(信託契約)
・保険代理店(申込手続き)
・紹介者など(保険代理店と契約者の仲介役)
まとめ
信託会社を介した保険契約は、関係性が複雑に感じられるかもしれませんが、仕組みをご理解いただければ、十分な安心感を得ていただけるはずです。保険の契約は通常、保険代理店の担当者との対面ですが、この信託会社を媒介させることで、香港に渡航せずに台湾や海外から保険加入を受ける保険会社もございます。ご興味がございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。